抱っこを嫌がる 怒るチンチラ…練習や訓練の仕方で好きな子に変わる?

せっかくモフモフの動物をお迎えしたのだから、思う存分抱っこしたい。顔をすりすりしたい。と考える飼い主さんは多いでしょう。こたろうの飼い主ももちろんそうです。

しかし、チンチラは野生の世界では捕食される側の動物。ワンちゃんのように「抱っこして!」と要求までしてくるまでなついてもらうのは難しいとしても、すんなりと抱っこはさせてくれるのでしょうか?

チンチラの「抱っこ」について、この記事ではこんな事をまとめています。

■こんな人におすすめ

~チンチラの抱っこについて~

・みんな抱っこできてるの?

・抱っこの練習はどうやればいいの?

・別に抱っこできなくても問題ないのでは…メリットあるの?

*ポイント**ポイント*

なんで抱っこされてくれないのかって?ちゃんと理由があるんだよ~。

抱っこができないチンチラは多い

最近はチンチラYouTuberも少しずつ増えていて、動画を見ているとチンチラさんのほうから寄ってきたり、抱っこされてうっとりしている子もいます。しかし、実際には抱っこを嫌がる子、抱っこしようとすると怒る子はとても多いのです。

冒頭にも書いた通り、チンチラは野生の世界では捕食される側の生き物。とても警戒心が強いんです。一緒に生活する中でだんだんチンチラも心を許してくれて、膝の上に乗ってきたりする子は多いと思います。カキカキもできるし、手からエサも食べてくれるし、気が向いたら寄ってきてくれる。しかしこれが抱っことなると…急に怒った声で鳴いたり、噛む子もいます。

この記事を書いているのはお迎えして1年程の頃ですが、すんなりと抱っこをすることはできません。怒るまではいきませんが、すごーく嫌がる。なんとか抱っこしてもジタバタ全力で逃げようとします。本当に嫌な時は「ワンッ!」と犬のような鳴き声をあげます。
そんな感じで全力で嫌がる為、お迎えしてからしばらくは無理に抱っこチャレンジする事もなく、なでる程度にとどめていました。あまり無理に抱っこしようとすると、信頼関係も崩れてしまう気がしたのです。

他の方のブログもたくさん読みましたが、抱っこが好きな子は本当に一握りしかいません。10年一緒にいても、抱っこだけはどうしてもできない。という方もいらっしゃいました。

つまり、チンチラとどんなに信頼関係ができているおうちでも、逃げられたり嫌がられたりするというのはごく自然なことであって、飼い主さんがどんなに努力してもどうしてもダメな事はあるんです。それを、自分のコミュニケーションの仕方が悪いのでは…とか、気にすることは無いんですよ。もちろん、無理やり掴もうとしたら追いかけたりしたら駄目ですけどね。

そんなこんなでこたろうは自分から寄ってはきてくれますし、無理にこちらから抱っこにチャレンジしようという事はしていませんでした。ただそんなある日、飼い主の考えは一変します。

やっぱり、抱っこはある程度慣れさせておかなければ…という事件が立て続けに起こりました。

【経験談】抱っこができないと…事件その① ~脱走~

ある時、こたろうが脱走しました。
正確にいうと飼い主夫がケージを閉め忘れていて、部屋んぽのスペースをペットフェンスで囲っていたにも関わらず逃げ出しました。ジャンプしたのか、フェンスのつなぎ目の隙間をなんとか突破したのか、とにかく脱走してしまった…という事がありました。

この脱走に関しては、閉め忘れた飼い主夫の不注意に尽きるのですが、気が付いた時にはテレビ台の下にいたんです(皆さん本当に気を付けてください…すごく危ないので…)。飼い主夫が慌てて抱き上げてケージに戻そうとしたのですが、抱っこに慣れていなかった為嫌がってギャーギャー鳴いてしまい、本当に苦労しました。

チンチラの警戒鳴きって怖いですよね。ニワトリみたいな声で鳴くんです。

また、チンチラは自分の好きなものを見つけたら飼い主がどんなに引きはがそうとしても絶対離れないときがあります。あんな感じで「意地でもここから動かない」と言わんばかりに、テレビの下で籠城していました。

そもそも、飼い主や飼い主夫自身も抱っこする事を怖がっていたところもあり、どう抱きかかえてあげれば怒らないのか、嫌がらないのか、怖がらせないのかというのも分かりませんでした。その時はなんとか捕まえてケージに戻ってもらったのですが、そのあとしばらくこたろうはシューンと大人しくなってしまって本当に可哀そうでした。ごめんね…

この時、飼い主もチンチラももう少し抱っこに慣れていれば。と思ったのが事件その①です。

【経験談】抱っこができないと…事件その② ~病院~

またある時、こたろうの歯ぎしりが止まらなくなり慌てて病院へ連れて行った事があります。

病院でこたろうはすごく嫌がって暴れてしまって、先生も「ごめんよ~ちょっと我慢してね~」と声をかけながらなんとか診察してもらった、という状況でした。最終的にはタオルでぐるぐる巻きにされました(仕方ないんですが)。

こんな時ももう少し抱っこに耐性があればスムーズに診察できるし、こたろう自身も嫌な思いする時間少なくて済むのになぁと。10年近く一緒にいて抱っこNGのチンチラさんも居るので、うちも難しいかもしれないなぁとは思いましたが、何もしないよりまずは抱っこの練習をやれるだけやってみよう!と考えるようになりました。

抱っこの練習をしてみた

ラクトバイト作戦

ラクトバイト
三晃商会さんのHPより。

チンチラさんはみんな大好き、お馴染みの「ラクトバイト」を使った練習・訓練です。

ラクトバイトは、犬猫のちゅ~ると同じようにチンチラが夢中になる栄養補給食で、ビタミンEや必須脂肪酸・腸まで届く乳酸菌が入っています。試しに飼い主もちょっと舐めてみました。

ビオフェルミンをゲル状にしたような、人間にとってはなんとも言えない味ですが、これをあげるとこたろうは夢中ではむはむします。引っ張っても持ち上げても「離すものか!!」と小さい前足で一生懸命、必死につかんでいます。あぁ、かわいい。

そんなラクトバイトを使って
食べるのに夢中だったけど、気づいたら抱っこされてたよ」的な流れに持っていけるんじゃないの?と考え、やってみました。夫が抱っこ係、私がラクトバイトで気を逸らす係です。

夫と私が向かい合って座ります。で、私がラクトバイトでこたろうの気を引いて目線を私側に向けておきます。こたろうがラクトバイトをガン見している間に、夫がそっとこたろうのお尻とお腹を包み込むように手をまわし、抱き上げます。当然嫌がって暴れるので、夫がしっかり抱っこした事を確認したら、気を逸らすために「ほらほら可愛いね~こたちゃんうまうまだよ~」と言いながらラクトバイトをすこーしずつ与えます。

そうすると、抱っこされて嫌だ(怒)<ラクトバイト美味い(嬉) になり、完全に意識はラクトバイトのほうに向きます。というか抱っこされている事に気づいていない感じです。もぐもぐしている間は、大人しく抱っこさせてもらえました。

それを2~3日おきに行っていると、こたろうも抱っこ=ラクトバイトがもらえる!と覚えたのか、そんなに嫌がらないようになりました。抱っこの仕方で、実際に感じたポイントは下記の通り。うちの子はこれを意識すると、抱っこ成功率が上がりました。

💡ポイント💡

・後ろ足がバタバタしないようにしっかり支えてあげる

・前足は固定しない(おしりとお腹を支えて、前足は押さえない)

・チンチラの背中が人間のお腹側になるようにする

※ラクトバイトは、あげすぎは良くないです。「毎日少しずつ与えましょう」という記載もありますが、それだと油分や糖分を毎日与えることになりますので飼い主的には多すぎると感じます。人間の体に対する1cm、チンチラの体に対する1cmでは…まったく重みが違いますよね。

人間だと、ミカンくらいの油+砂糖玉を食べているようなものです。飼い主は、できれば1週間~2週間に一回程度、なにかのご褒美くらいの気持ちで少しだけあげるようにしたほうがよいと考えています。

連続ぺレット作戦

という事で、ラクトバイトをあげると食べている間だけはなんとか抱っこはできるようになりましたが、ずっとこれを続けるわけにもいきません。じゃあ、与えるものをペレットに置き換えてみたらどうか?という事で、ペレットでも抱っこ練習ができるかやってみました。

まず抱っこ訓練の前段階で、ペレットをケージに持ち帰らないで飼い主の傍で食べる。という事に慣れてもらいました。

こたろうの場合、ごはんの時に飼い主からペレットを受け取ると、ぶわーっと走ってケージの中に持ち帰って食べる事が多い状況でした。気分のいい時は飼い主のひざの上で食べてくれることもあります。で、持って帰って食べて戻ってきて、また持って帰って食べてを何度も繰り返します(効率悪い子)。

で、最近はペレットをあげる時に一粒ずつ与えるのではなく、左手でペレット入れを持って「たくさんあるよ」というのをチラチラ見せながら、右手で一粒ずつ指でつまんで与えるようにしてみました。そうすると「あ、まだあるんだね。了解です」という感じで、ペレット入れを見つめながら飼い主の膝の上でバリバリ食べるようになりました。

この状態まできたら、あとはラクトバイトの時と同様にペレットで私が気を引いている間に、夫が後ろからそーっと抱っこする。というのができるようになりました。ただラクトバイトのようにずっとかぶりつくというのが無いので、抱っこしている間にペレットがなくなりそうになったら、追加でそっと顔の前にペレットを差し出してあげます。そうすると、前足でペレットをつかんでそのままモグモグ食べるので、その間はある程度抱っこできます。

最近は、以前のようにしっかり固定していなくても逃げ回らなくなったかもしれません。少なくともギャッと怒る事はなくなりました。両手で抱っこして、その後お腹側を支えている片手をそぉーっと放したところ、片手での手乗りチンチラにも成功しました!!嬉しかったです。

でも結局、ごはんを食べている間しかできないですね。何にもない時に抱っこするのはいまだに無理。

結論:何かあった時に備えて練習はしたほうが良い

そんなこんなで、ごはんで釣ればなんとなくできるようになった抱っこですが、できなくても困ることは少ないかもしれません。ただ、脱走や通院等で抱っこの仕方がわからない…とならないように、チンチラだけでなく飼い主側も焦らず対処できるように、普段からちょこちょこ抱っこにチャレンジしてみる事は大切かもしれないな、と思います。

お迎えしたばかりの頃にやってしまうと信頼関係も崩れてしまうでしょうし、ずっと一緒に暮らしていてもやり過ぎると嫌われてしまいます。チンチラの機嫌が良い時を見定めて少しずつ訓練して、慣れてもらうのが良いですね。

何でもないときでも抱っこし放題のチンチラちゃんは憧れますが、うちはうちのペースでこたろうが嫌がりにくい抱っこの仕方を見つけていきたいなと思います。